役小角大峯桜(えんのおづぬおおみねざくら)乙川地区南山八幡車

演目

役小角大峯桜(えんのおづぬおおみねざくら)

製作者(人形師)

九代玉屋庄兵衛

製作年

2007年(平成19)3月

所有の変遷(譲渡を受けた先、時期など)

新規導入(復元)

由緒

宝暦五年(1775)に尾張藩へ提出された「乙川村祭礼山車絵図」の南山の山車高欄には、からくり人形が設置されており、「役正角大峯様からくり人形」と詞書が記されている。絵図以前から山車に「からくり人形」があったことが分かる。
時代が下り、明治36年(1903)に山車の老朽化に伴い、河和中組に山車一式を売却した。この前後に、からくり人形も失われたようである。以後、からくり人形は近年まで復元されることはなかった。

からくり人形にまつわるエピソード等

宝暦五年の「乙川村祭礼山車絵図」のように復元するか、あるいは、安価なものにするか大きな議論となった。結果、高価でも「役小角大峯桜」乱杭渡りのからくり人形復元を希望する役員が多数となり復元新調が決まる。
また、先行して同じ乙川地区の浅井山が唐子の乱杭渡りが演じられていたが、南山は乱杭渡りの機構が重なることは已む無しとし、復元新調した。

上演ストーリー

大峯山に住む赤鬼が現れる。鬼はマサカリをかつぎ辺りを圧するがごとくに歩く。そこへ、役行者(役小角)が登場する。行者はおもむろに辺りを見渡しながら乱杭を渡り、鬼をも支配できる法力(呪法)があることを鬼の前で披露する。鬼は行者の前で、頭を垂れ恭順の態度をしめす。
続いて、行者は桜の枝(綾棒)を左手でつかみ、ぶら下がる。そのまま桜の枝(綾棒)にぶら下がりながら、桜の花びらが舞い散る中、はるか谷底へ下りるという法力を再び披露する。赤鬼は青鬼に変身し、欣喜して舞い踊りながら終了する。(赤鬼は前鬼、青鬼後鬼の夫婦の鬼の象徴)

所作・動き解説

赤鬼が伏せていた顔を上げ、ゆっくりとした所作で辺りを動く。行者(役小角)が謡曲「春一番」に合わせ鬼を制するようにゆっくりと乱杭を渡る。渡り終わると桜の木が前方に回り、行者が左手で桜の木からさがる綾棒(取手)をつかむ。突然、行者は山車前方の左外側より花吹雪の中を下りる。
鬼も突如赤の面が青に変わり、マサカリを振り下ろしながら激しく体を左右に振り終了となる。

からくり機構解説

人形2体  基本6人にて演じる
役小角(役正角、行者) 差し金、突き上げ棒、綾棒(取手)、2人遣い
高さ80センチメートル
鬼(赤→青)      糸からくり、変身(面被り)、3人遣い
糸は13本⦅右手2、左手2、右足1、左足1、面2、腹1、
頭(左右上下用)3、行者下り用1⦆・梃子棒1(お辞儀用)
高さ110センチメートル
残る1人が桜の花びらを撒く等の役割をする

口上文

タイトル「春一番」
曲調 謡曲風、作詞、作曲 岩月 豊(南山囃方)

春一番の風に吹かれ
乙川の地に絵巻に生きて
残る
からくり蘇る

人形囃子の構成

タイトル「春一番」
曲調 謡曲風、作詞、作曲 岩月 豊(南山囃方)
能管:5人
大太鼓:1人
小太鼓:1人
鼓大:1人
鼓小:1人
鉦:1人

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