囃子

  • 囃子の様子01
  • 囃子の様子01

知多路の春は、祭り囃子の音色に乗ってやってくると言われます。

私たちは、子供のころから、糸切り風が吹く豪壮な乙川祭りの到来により、春の訪れを感じたものでした。
祭りと言えば、神社の境内にしろ、山車にしろ、ピーヒャラ・ドンドンと流れる祭り囃子の笛や太鼓の音に、季節の到来や、郷愁を感じ入ったのではないかと思います。
半田市内には31台の山車の運行時などで奏でられる山車囃子と、各神社境内などで奉納される神楽囃子を合わせ約350曲にも及ぶ祭り囃子が伝わっている。
このうち神楽囃子は、巫女神楽、獅子神楽、イサミ囃子などで約200曲が伝承されている。
また、山車囃子は、31台の山車の運行時などで奏でられる囃子と、からくり人形の上演時に奏でられる囃子などで、各地区、各山車ごとに、また山車の曳き方などにより演奏される曲目、演奏の仕方が異なるが、市内に数多く分布している山車囃子のうち最も広く分布しているのが「車切」である。次いで「早神楽」・「ユー神楽」の順となっており、それぞれ、特徴的な伝播経路となっている。

神楽囃子

市内に分布する巫女神楽は、熱田神楽ともいわれる宮流神楽と、現在の碧海郡方面から伝わったとされる旭(朝日)流神楽とに分けられる。主に宮流神楽は市内では亀崎のみに伝承され、旭流は有脇、新居、平地、岩滑、岩滑新田、成岩、西成岩、板山等で伝承されており、その対位を明確に分けている。

演奏形態について、宮流、旭流とでは、大きな相違点を有しており、宮流、旭流ともに、草笛(神楽笛)、大太鼓(長胴)、小太鼓(締太鼓)からなっているが、宮流では大、小太鼓の両方を一人で演ずるのに対し、旭流ではそれぞれを1人ずつで演奏する。とりわけ旭流では、大太鼓の奏者が、太く、短いバチを、囃子に合わせて曲芸のように打つところに、特色を有している。

こうした神楽囃子の相違が各地区の山車囃子にも微妙な影響を与え、それがバラエティに富んだ祭りの雰囲気を醸しだしているようで興味深い。

山車囃子

市内31台の山車囃子の伝播の経路としては、亀崎地区と上半田地区が、熱田神宮の社家(神主)から直接電波されたのに対し、この2地区以外の8地区は全て、上半田地区から伝播したとの記録が残る。

亀崎地区では、江戸時代末期に、熱田神宮の社家(神主)が指導に来て、「ュー神楽」など藤田流の能楽をもととした山車囃子を伝授するとともに、宮流神楽を編曲して打ち囃子や山車囃子とするなど、各組毎の特徴を持たした祭り囃子の伝授を行っている。

また、同じ「車切」でも、亀崎地区が、祭り人の気分を盛り上げるような付点のリズムで、小太鼓のリズムが構成されているのに対し、亀崎地区以外では、同じリズムの連打で緊張感を醸し出している。

このページの先頭へ